フォトグラメトリは使い方次第?プロが教える効果を最大化する方法

お役立ちコラム

2023年2月7日

フォトグラメトリとは

特殊な機器を使用しないで撮影ができる

フォトグラメトリ(Photogrammetry)とは、簡単に言うと複数枚の写真から3Dイメージを作る手法です。

・撮影方法は被写体を回して、定点から一周の写真を撮る

・さまざまなアングルから撮影する

被写体に対して様々な角度から撮影することで、3D用の画像を作り、3Dモデルを作っていくイメージです。

データ上に現物と同じような教師データが入ることで、コンピューターの力で物体が何であるかを把握できる技術に応用できます。

そのデジタル画像を解析、統合して立体的な3DCGモデルを作るには、100枚前後必要ですが、今はもっと高度な技術に応用を使用としていますので、さらに枚数が必要になってきているのが現状です。

現物を3Dデータ化することからはじまる

フォトグラメトリ―は、物理的に存在するものからデータを取って3Dデータを作成します。
代表例として、自動撮影システムがあり、3Dデータを作る作業として、下記の流れをご参考ください。

・複数の角度から数十枚の写真を撮影

・同時に背景処理(背景処理をしない通常撮影も可)

・撮影画像の確認(必要であれば編集・加工も可)

・同一フォルダに保存(ファイル形式・保存場所・サイズなど保存ルールの変更も可) ・保存
┗3Dで出力  :3Dアニメーション画像を同時出力
┗静止画で出力 :連番をつけて指定フォルダに格納

・静止画で出力した場合、3Dデータを作るために別途ソフトウェアやシステムで繋ぎ合わせが必要

簡単にまとめると、撮影ー編集ー保存ー3Dデータ作成までを一元管理で、従来のスピードの何十倍のスピードで作成可能です。

さらに、初心者でもこの撮影ができるようになるのが、最大の特徴です。

フォトグラメトリの作成に必要な3つ機材とソフトウェア

カメラ

フォトグラメトリは、写真のつなぎ合わせなので、カメラが必要です。iPhoneも活用できますが、より高精細かつ環境を整えて、スピード感を持って撮影する場合、自動撮影システムがおすすめです。

背景処理の有無に関わらず、手動かつ角度も一定にして撮影をするには、テクノロジーの力を借りるのが結果として一番効率が良くなります。

パソコン

パソコンも必須アイテムです。

どこまでをパソコンでこなすかによってスペックは変わってきますが、一般的には、ビジネス用のパソコンよりは画像編集用のパソコンスペックに寄せていくのが良いでしょう。

特筆すべき機能としては、下記の通りです。

CPU: Intel Core i7 以上

AMD Ryzen 7 以上 /

Apple M1, M2

メモリ(RAM):16GB以上

※最低でも Intel Core i5 以上ないと処理が遅くなる可能性あり
※第10世代以降が望ましい

専用ソフトウェア

詳細は後述しますが、フォトグラメトリ―の作成用のソフトウェアを紹介します。

1.3DF Zephyr

2.Meshroom

3.Regard3D

フォトグラメトリの向き、不向きな被写体

フォトグラメトリに向いている被写体

失敗する被写体よりも向いている被写体の方が多いのは間違いないです。

上記に当てはまらない、被写体は撮影も加工もしやすく、フォトグラメトリーに向いていると言えます。

透明度が低く、ほとんど光を反射せず、白がほとんど使われていない被写体

フォトグラメトリに向いていない被写体

フォトグラメトリ―は写真の繋なぎ合わせとは言え、背景処理を前提として考えなければいけない分背景に溶け込んでしまう被写体はNGになる場合が多いです。

具体的には下記の通りです。

・透明度が高い被写体

(例)ガラス製のコップ、メガネ、レース素材、フィルム付きの製品、透明袋に入った食品など

・光を反射する被写体

(例)ジュエリー、金属の製品、食器など

・白い商品

(例)白いスニーカー、財布、バッグ、ポーチ、雑貨など

フォトグラメトリの活用

AIロボットや無人コンビニに活用できる

様々なアングルから撮影された商品や物体のデータはAI認識に使われることが一般的になってきました。

その活用先として期待されているのが、大きく分けて2つあります。

その一つがロボットに物体を把握させるための教師データです。

裏側のデータベースに入れる画像として活躍が期待されています。

成否の判断をするための重要な判断を下すデータなので、商品撮影の品質と精度が求められるため、非常に時間がかかる工程を経て、実験ができるようになります。

AIロボットや無人コンビニに活用できる

活用先として期待されているのが、大きく分けて2つあるうちのもう1つが、無人コンビニでどんな商品を取ったかを照合する教師データです。

どちらも裏側のデータベースに入れる画像として活躍が期待されています。成否の判断をするための重要な判断を下すデータである事はロボットの認識機能を作る場合と同じです。

メタバースやバーチャルECに活用できる

フォトグラメトリ―は、昨今ではバーチャルECやメタバース内で実物の商品を持っているかのように画像を回すことができるコンテンツとして、注目が集まっています。

3Dデータであれば、CADなどでも問題ないのですが、フォトグラメトリーは実際の商品をコンテンツにすることでリアリティーを生み出すことが最大のメリットです。

バーチャルECやAIの画像認識に必要な画像を作るための撮影は思っているよりも骨が折れる作業の繰り返しになるのはご存知でしょうか…。

フォトグラメトリのメリット・デメリット

フォトグラメトリのメリット

フォトグラメトリーのメリットは、品質は悪くとも商品撮影さえできれば、ソフトで統合すれば3Dデータ化は可能な点です。

1枚1枚写真を撮っていく手法なので、撮影の途中で修正がしやすい点もメリットとして挙げられます。

また、上記の点から3Dデータ統合時まで失敗をする工程はほとんどなく、時間と労力をかければ、進行できる点は3Dスキャンと違って非常にやりやすいと思います。

フォトグラメトリのデメリット

フォトグラメトリ―のデメリットは、なんと言っても時間がかかる点にあります。自動撮影システムを使用しない手法では、ほぼすべての作業が1から手動になるため、人海戦術でひたすら根気よく進めていかなければいけません

また、フォトグラメトリ―は3Dスキャンと違い被写体情報のみを把握することができないため、背景を統一する工夫が必要です。背景が統一されてない場合、天地がはっきりにんしきできるため、想像を超える違和感が発生します

多くの場合、背景処理をして3Dデータを作っていき背景情報を統一する流れをとっていますので、撮影以外の編集作業が大変になることはフォトグラメトリ―のデメリットとして挙げられます。

フォトグラメトリと3Dスキャンの違い

現物を使用することは同じ

フォトグラメトリーも3Dスキャンも、0から被写体データを作り出す3DモデリングやCADデザインとは違い、出来上がったものをデータに取り込む作業が必要になります。

写真かレーザーか

フォトグラメトリ

フォトグラメトリは、様々なアングルから写真を撮ってつなぎ合わせることで、3Dイメージを作成します。

3Dスキャン

一方の3Dスキャンは、レーザーや白色光でスキャニングして、被写体のイメージデータを取得していきます。

光の反射や透明度が低い:3Dスキャンの精度は高い

光の反射や透明度が高い:失敗しやすい傾向

価格

フォトグラメトリ

撮影環境は要件により費用の幅は広い。

ソフトウェアのみ、アプリケーションのみであれば、もう少し費用を抑えることも可能だが、

定期的に撮影をする場合、割高になる場合もあります。

3Dスキャン

システム全体で数百万円するのが通常。

精度・修正のしやすさ

フォトグラメトリ

撮影方法にもよりますが、写真のつなぎ合わせのため、対象箇所の商品撮影をやり直せば、修正は簡単に行えます。

3Dスキャン

3Dスキャンは、最初から最後まで一連の流れでデータを作っていくので、部分修正ができない点が懸念されますが、スキャニングしやすい商品については、高精度のデータが取得できるため、撮影する商品群がどのようなものかによってデメリットにもメリットにも働きます。

フォトグラメトリが作成できるソフトウェア

3DF Zephyr

2つ目は、3DF Zephyr。3DF Zephyrは有料ソフトで、画像編集でいうPhotoshopの立ち位置で、フォトグラメトリの作成ソフトでは一番有名と言われているソフトウェアです。

無料体験版があるため、初めての方でも安心して試せて、これからフォトグラメトリに挑戦する人はおすすめできるソフトウェアです。

有名で一番トライする人が多い=ネットで情報が多いため、

Windowsのみの対応である点がデメリットとして挙げられます。

▶ 3DF Zephyrの公式サイト

COLMAP

COLMAPは無料のフォトグラメトリソフトウェアで、Macにも対応しています。

研究用に開発されたもので機能が幅広く、無料ながら評価も高いようです。

▶ COLMAPのダウンロードページ

Meshroom

4つ目は、AliceVisionが提供しているMeshroom。 無料のオープンソースの3D構築用ソフトウェアで、さまざまな角度から撮影した画像(オブジェクト)を使用して3Dモデルを生成できます。ソフトウェアは、サーフェスポイント間の距離を計算し、オブジェクトメッシュを作成する。初心者でも使いやすいと定評があるが、Macには対応していない。

▶ Meshroomの公式サイト(英語)

Regard3D

最後はRegard3D。オープンソースのソフトウェアです。他のツールと同様、画像のつなぎ合わせを行い3D化を助けてくれます。

公式サイトには初心者向けにユーザーガイドとチュートリアルが用意されていますが、難しいとの声もあります。

公式サイトからダウンロード可能で、Macにも対応していますが、最新バージョンが2019年で止まっているのは懸念されます。

▶ Regard3Dの公式サイト

フォトグラメトリの作成事例

産業技術総合研究所

産業技術総合研究所が、フォトグラメトリの事例を出しています。データの元となる画像の撮影にはOrteryの機材を使用しています。

iPhoneでもフォトグラメトリが作成できる

今やスマホで3Dスキャンができるくらいカメラの精度やソフトの精度が上がってきているので、非常に便利な世の中になってます。

簡易的ですが、ただひたすらスキャン(動画や写真撮影と同じ要領で)していけば、3Dデータが作れるので是非、やってみてください。

■ Android用アプリ

https://androidapp.jp.net/apk/1541433223/scaniverse-lidar-3d-scanner

■ iPhone用アプリ

https://apps.apple.com/jp/app/scaniverse-lidar-3d-scanner/id1541433223

フォトグラメトリが脚光を浴びはじめた理由

顧客体験の急加速

オンラインショップやECサイトなどのコンテンツはより豊富で充実したものを求められています。

VR、AR等のバーチャルショップや店舗とECサイトを繋げてオムニチャネルで販売を促進することもその一つです。

AI技術を使った更なる便利さとセキュリティの追求の先にあるのが、ロボット認証やAIの画像認識。それらがうまくいった先には、「コンビニの無人店舗化(Amazon GO)」などがわかりやすい例となるでしょう。

顧客体験(CX)を今まで以上に充実させて購買に繋げるためにはフォトグラメトリの技術が応用されていくのがマストになりそうです。

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