初心者でも5倍の効率化!事業拡大を見越した葛藤と決断の裏側!S-mart様の導入事例
導入事例
2023年12月19日
複数のモールでシューズをメインに様々な商品をECサイトにて販売されている株式会社S-mart様の導入事例をご紹介します。導入、運用に携わった同社の早川様、神力様にお話を伺いました。
では、はじめに会社紹介をお願いいたします。
株式会社S-mart(エスマート)はシューズをメインに、 ファッション雑貨やトレンドアイテムをECサイトで販売している会社です。現在、ECサイト12店舗を運営しております。弊社は3つの会社組織で編成されており、S-martはその中の1つの会社でして、他に役割の違う2つの会社がございます。1つは企画、製造、卸をしている会社組織、2つ目は実店舗を運営している会社組織、そして、ECサイト運営している3つ目の会社組織である弊社があります。
現場の管理を任されている神力様の業務内容を簡単に教えてください。
発注や出荷管理、各社からの仕入れ業務などを行うことに加え、カメラマンとしてモデル撮影や物撮りを行っています。撮影とその他の業務の割合は何対何くらいでしょうか?
オートリーを導入した当初は6:4ぐらいで撮影の方に傾いていたのですが、最近は、出荷業務が多くなってきて今は2:8くらいになっています。自動撮影システムは、別の担当者にお願いしていますので、自身の比重が少なくなっていますね。
新たに雇った自動撮影機専任の方は撮影の比重が大きいですが、他の業務にも携わっていただいています。この形で業務が回るようになってからは、柔軟に各業務に時間を割けるようになって劇的に仕事の環境が良い方向に変わりました。
システム導入前の従来の撮影方法について教えてください。
簡易型のスタジオを作り、照明を左右から当ててカメラを固定して商品を手で回して撮影していました。必要な撮影カットは、正面、斜め、サイド、バック、靴裏など、手で微調整をします。それをカラーバリエーション毎におこなって、また取り替えていう風に…。ものすごく時間が掛かっていました。長靴だったり長物だったりするとプラスアルファで履き口の形状を見せたりというのが増えてきて、 全カット場所がずれないように気を付けていました。また、1円玉を使って微細な傾きを調整しないと左右同じ形にならないのです。並べた時にちょっと反っていたりするのですが、その歪みを後ろからちょっと合わせたり…大変でした。
社内の撮影かつ兼務でそこまでこだわって撮影されていたのですね。
(ECサイトでの販売という特性上)写真で商品を売るので、商品の魅力を伝えるのは写真しかないのです。なので、キレイに魅力的に撮ることを意識しています。それもあり、同業他社や知り合いの会社様にも、『商品写真すごくきれいだよね』とよく言っていただけています。
従来の撮影時に起こっていた問題や課題を教えてください。
繁忙期は一切撮影できない!兼任なので。どちらかの業務が多くなれば、必然的にどちらかの業務はできなくなります。(撮影より出荷場の管理業務の方が優先順位は高いため )自分も出荷業務の方に入りますし、発注業務も多くなってくる。結果、カメラを握らない日が結構出てくる。(商品撮影は)時間がかかるので、まとまった時間が必要になります。少し時間が空いたからと言って1商品撮ろうとかができない。午前か午後のどちらかの時間を空けておいて、撮れればいい方でした。懐かしい…(笑)。
当時は掲載できず売りたいのに売れないものもありましたか?
そうですね。機会損失がかなり出ていたと思います。(撮影が追い付かないので)新しい商品を仕入れられないということに繋がっていて、取り扱い点数が非常に少なかったですね。年間登録数は1000品番以下くらいでした。販売中の商品で500品番ぐらいしかなかったですね。システムの導入前の話なので2年前くらいまでその状況が続いていました。
商品撮影ができる方は何名いらっしゃったのですか?
今と一緒でカメラマンは2人ですね。繁忙期は全く撮影できないのですが、閑散期は逆にずっと撮影しています(笑)。時期で言う1月~2月と7月~8月にめいっぱい撮ります。そこで撮影をしないと(商品がECサイトに並ばないので)繁忙期が来ませんので。
撮影しなければいけないものが常にあったんですね。
とにかくずーっと夜中まで取り続けないといけないような。土、日でも撮影しないといけないような状況に陥っていたのが当時でしたね。季節ものとかリミットある商品もあるので。(画像を)とにかく上げろみたいな状態で時間がなかった時代です。
導入検討の経緯について
早川専務、導入検討をはじめた背景を教えてください。
現場の社員がWEBか何かで見つけて、最初は『絶対高いやろ…。こんなシステム入れられる会社じゃないぞ。』その思いひとつしかなかった。経営者としては…。
『こんなの導入していたら会社潰れるよ。』って思っていましたね。ただ、これからの未来への先行投資として必ず導入しなければ成長しないだろうな。という思いも少しずつ芽生えてきて。
本当は導入には前向きではなかったのでしょうか。
オートリーのショールームに行かせる事自体前向きではなかったですね。実際、専任のスタッフが2人でお邪魔させていただいたと思うのですが、彼らは労力を減らしたかったんです。 つらかったんだと思います…。彼らが頑張っている姿を見ているので、負担を減らしてあげたいっていう思いも、もちろんありました。でも、当時は導入している企業名も聞いたことない所の方が多かったですし、背景の切り抜きが一瞬で出来るなんていうのも『そんなの無理やろう!!』くらいに思っていましたので、正直賭けみたいなところがありましたね(笑)。
ショールームから帰って来られた時に印象に残っていることはありますか?
スタッフの目は輝いていて、未来が見えたみたいな感じでした(笑)。いい商品なんだなっていうのは感じ取れましたね。
ご商談から数年の期間が空いて、改めて問い合わせをいただきました。
事業が好調の時だったこともあり、ようやく踏ん切りがついて。 導入のタイミングをすごく気にしていたので、ここだ!っていう時に連絡したわけなんです。事業成長を加速させるためにもやはり必要なアイテムというか、そういう商材だなっていう思いはもっていたので。
導入の決め手はどのような点にあったのでしょうか。
決め手となったのはビジョンと現状の差ですよね。 現状を早く脱却したいという思いから自動撮影システムを導入するしかないという結論に至りました。
あと、リース契約ができたっていうところが大きいです(笑)いきなりキャッシュでドーンと何百万払うっていうのは相当きついので。先行投資する分、使い倒してやろうと腹をくくりました。実際やってみるとやっぱすごく良かったっていうのが率直な感想です。
導入を決めるまでに社内で反対意見はなかったですか?
Photoshopを使いこなせる人たちからしてみると、衝撃受けたでしょうね。『ここまでできるのか…』っていう。そのプライドが打ち消される瞬間があったでしょうね。なので、ショールームに伺って実際に自動撮影システムを見たスタッフは、賛成派と反対派で意見が割れていましたね。カメラが分かるとこだわりも強くなってくるので(悪い面を探してしまう)。でも、こだわりだけでは持続的な売上に繋がらないので。
撮り方の手法も変えました。白背景の物撮りにこだわったとしても平面で置いている写真以上にはならない。なので、モデル写真の方に時間をかけ、Photoshopに渡すまでの時間を早くした方がもっと良いLPを作ってもらえるし、その辺の方が大事になってきます。
自動撮影システムに仕事を奪われる感覚だったのかもしれませんね。
やはりそこは感じますよね。(経営者としては)1ミリもそんなのこと考えてないんですけど、やっぱり一個人だったら考えますよね。『自分がこれだけ苦労しいてるのに、そんなボタン一つでできたら困る』と。自分を否定された気分になりますよね。今となっては『ありがたい』と言ってくれています。システムかカメラマン、どちらかしか選ばないって、そういうものじゃないんですけどね(笑)。
導入後の効果について
導入後の起こった変化を教えてください。
■ 撮影の効率化
時間の捻出っていうところが一番大きいです。クオリティを落とさず時間の捻出が可能になりました。早い段階で撮影から制作の方に回せるので、(今まで時間がなくてこだわれなかったことも)こだわれる部分が出てきていると思います。その上、編集の時間も短くなっています。だいたい5倍くらいの効果は出ていると思いますね。
■ 撮影クオリティの均質化
撮影環境が変わらないので、写真のクオリティもそんなにぶれない。人が手で撮ると照明の角度が変わったり、カメラ位置が変わってきたりしてしまうので、出来上がりに誤差が出てしまいます。その辺の調整時間もだいぶ省けました。 従来の背景紙にライトを2個立てて、カメラに三脚を立てて撮影する場合、昼間だと外の光も入ってくるのでいつも一定(の環境)とは限りませんから。
■ 効率化による余裕ができた時間でマーケティング
教育の時間がほとんどなく、コンテンツ量が増やせた上に、時間的余裕が生まれたというのが大きいですね。今までは新たな取り組みを考える時間もないような状況でした。導入後、時間ができたことはすごく大きなメリットで、生まれた時間を有効活用したSNS運用への影響は特に大きかったです。素材としてはECと同じ画像素材を流用していて、自動撮影システムを導入してから本格的に動き出しています。それまでは、アカウントを作るだけ作って放置でしたね(笑)。
特にInstagramには力を入れています。X(旧Twitter)は新規ユーザーへアピール、Instagramは既存ユーザーに対してアピールしています。定期的に情報が発信されると、過去にS-martでお買い物して頂けた人には再認知してもらえるし、ここのサイトは活発に動いているんだというのも分かって頂ける、お客様との情報訴求の場としてSNSを運用しています。 しかし、現状はSNSで見たから買おうではなく、靴を買おうと思ったらS-martと、Instagram経由じゃなく直にサイトに来て、見て頂く方が多いはずです。また、企業価値を上げるために運用していますね。Xに関しては構造上、新規獲得メインなのでプレゼント企画などで新規ユーザーを獲得して、Instagramに誘導し、そこからS-martのファンへなっていただけるように心がけています。
■ 事業の拡大
今までだと、どう頑張っても年間1000品番くらいの取り扱いだったものが、導入後は5000品番くらいになっている(SKUで見ればさらに数倍)。しかも、ほぼ一人で撮影してもらいました。新人でもそれくらい行けましたね。オートリーを入れていなかったら絶対に達成できなかった数字ですね。
現在、販売中の商品は常時4~5000品番で、導入前は500品番くらいだったので、10倍くらいの商品数が確保できています。コロナ禍でEC事業者が増えて、今まで1品番で10店舗くらいしかいなかったライバルが、現在は80店舗くらいにまで増えてきている。他社に飲み込まれずに何とか売上を維持できているのは、品番数を増やせたからです。
カメラマン以外の方も商品撮影をされていますか?
オートリーの自動撮影システムが入ってからすぐに専任者を雇用しました。 使い方を教えて1ヶ月ぐらいで、『あとはよろしく。何かあったら声かけて!』という状態になりました。
カメラの操作がわからない人にも、設定さえわかる人がやれば、手順に沿って進めていくだけで撮影できるというのは大きな進歩です。おそらく担当者は今もまだ一眼レフカメラの細かい設定はあまり理解できてないと思います。
F値がどうとかいうのはだいたいわかるかもしれない。握って取るっていうのも最近始めたぐらい。でも、それがわからなくても撮れるっていうメリットがありますね。素人さんを入れたもんね。わざと(笑)。
撮り方もカスタム撮影(予め指定した角度で撮影する)機能を使っているから、角度とか全部決まっているじゃないですか。なので、商品置いてボタンを押して保存してとかいうのは最初に教えておいて、商品によってイレギュラーが出て来た場合に声かけてもらって少しずつ分からないことを減らしていきました。設定の変え方もシンプルでわかりやすかったのも、すごく助かりました。
画像編集も自社でおこなっていらっしゃいますか?
そうですね。Photoshopでパスの切り抜き作業がなくなったっていうだけでもかなりの時短ですね。雑にすると見栄えが変わってきますし。白抜き画像はサイズさえ合わせればすぐにアップロードできる状態になるので、すごく助かっています。
プライベートブランドの商品撮影において、変化はありましたか?
重点的に撮影する点については、あまり変わってないですね。オートリーで撮影する以外のカットが増えるっていう感じですね。モデル撮りとか置き撮りとかそういったものが増えてきますので。 基本的には靴なので、履いた写真(イメージカット)を使います。その時間をしっかり捻出できるようになったのも自動撮影システムのおかげです。さらに時短を計れたっていうところは、すごく大きな意味を持っています。
皆さんから見た自動撮影システムの魅力を教えてください。
カメラの知識がない人でも使えるようになるのは、魅力ですね。商品撮影は状況によって設定変えたりしなければいけないのですが、撮影の環境が変わらず、手順も変わらないので、すごく助かっています。(カメラや照明等の設定を残せる)プロファイル機能を使って、撮影したものを、リネームして保存する。残像を残せる(残像効果)機能を使えば、シューズなどの形がしっかりしているものだと撮影しやすいです。それらの機能を使えば、教育の大幅な時短もできるのもすごくいいです。もう一人、新たなスタッフに操作方法を教えていますが、その方も実質4日ぐらいでだいたい一人でこなせるようになっています。
例によって、カメラのわからない方を教育されているのでしょうか。
そうですね。最初はカメラも全然よくわかってない状況。カメラに興味がある程度です。ベテランカメラマンと違って先入観がない分、変なこだわりもなくすんなり受け入れてくれていますね。あくまでもコンテンツの素材を作るだけなので、素人さんにおすすめですね、本当に。
今後、取り組みたいことなどあれば教えてください。
商品登録が自動でできるように基幹システムと連動させて、更なる自動化を図りたいですね。画像のデータファイル保存先とモールをつなげて、ファイル名もルールに沿って自動でつけられ、リサイズも全部された状態で各モールに繋げられるといいですね。オートリーへの要望に近いかもしれません(笑)