ECサイトで鞄を魅力的に見せる商品撮影のポイント

お役立ちコラム

2025年10月30日

ECサイトで売上を伸ばすには、商品の魅力を最大限に引き出す商品画像が欠かせません。しかし、初めて商品撮影をする方は「どんな機材を揃えればいいのかわからない」と悩んでしまうでしょう。

鞄は素材や形、サイズ感、収納力など、購入の決め手となるポイントが多いため、写真のクオリティ次第で売れ行きが大きく変わります。今回は初心者でも実践できる鞄の商品撮影のコツをご紹介します。

1. 撮影環境を整える

撮影用の照明と背景紙は、鞄の商品撮影において美しい仕上がりを左右する重要なアイテムです。適切な選び方を知ることで、プロ仕様の商品画像を撮影することができます。

背景はシンプルに

商品撮影では白背景が基本で、ECモール(Amazonや楽天)では白背景が推奨されています。光沢のある紙は照明が反射してしまい、商品に不要な影や光が映り込んでしまいますので無反射紙がおすすめ。

鞄のサイズにもよりますが、幅1.35mの撮影用の背景紙を用意しましょう。ブランドサイトではグレーやベージュなど落ち着いた色も有効。背景紙用を設置する専用のポールやスタンドを用意すると安定しますが、幅1.35mのハーフサイズの背景紙であれば壁にテープで直貼りすることで撮影スペースが小さく済みます。

照明の用意

初心者の方でも簡単に扱ってもらえるのは定常光のLEDライトです。LEDのような定常光は光がどのように商品に当たっているかを確認しながら調整ができます。また、照明アクセサリーにソフトボックスを使用することで光を柔らかく拡散し、鞄の影が強く出すぎないようにします。

LEDライトを2~3灯用意すれば十分にライティングできるでしょう。メイン光とサブ光を使い分けることで立体感のある商品撮影ができます。また、光を反射させ影の部分を明るくするレフ板があると補助的に使用できるので便利です。

三脚の用意

手持ちで撮影するとカメラのシャッタースピードにより微妙なブレが生じる場合があり、商品の詳細がぼやけてしまいます。

1万円程度の軽量アルミ製三脚で十分に対応可能ですが、高さ調整機能付きのものを選ぶと、様々な角度からの撮影に対応できます。

鞄の形を整える

布素材等の柔らかい素材の鞄はしっかりと「あんこ」(エアクッション等)を詰めなければ本来の鞄の形状が伝わりません。鞄内に「あんこ」を詰め、形を整えましょう。

筆者がナイロン素材の鞄に緩衝材用の紙を「あんこ」詰めした際に、紙から出たホコリが鞄に付着し、後で画像修正することになってしまった経験があるので、個人的にはホコリの出ないエアクッションがおすすめです。万が一ホコリが気になる場合は、ブロアーやクロスでふき取り、編集での作業を最小限にしましょう。

吊り撮影の必要アイテム

持ち手が自立しないトートバッグやショルダーバッグのストラップを吊った状態で撮影する場合、テグスとテグスを吊り上げる為のスタンドやアームが必要となってきます。

Amazonや家電量販店のECサイトから購入ができます。テグスはあまり太いものを使用すると目立ってしまうので、後の画像加工での処理が楽な釣り用の細いテグスがおすすめです。

2. 鞄の魅力を引き出すアングル撮影

購入者は「サイズ感」「使い勝手」「素材感」を重視します。そこで以下の基本カットを押さえておきましょう。

  • ・正面カット:商品ページのメイン画像。鞄の形をはっきり見せて撮影。
  • ・斜めカット:立体感を出してデザインを強調。
  • ・側面・背面カット:厚みや背面ポケット等の有無を伝えるために必須。
  • ・内側カット:収納ポケットや裏地を見せることで「使いやすさ」を表現。
  • ・底面カット:底面のマチを伝えるために有効。どのくらいの容量が入るサイズ感なのかを伝える。
  • ・使用イメージカット:モデルが肩に掛けたり、手で持ったりする写真でサイズ感を伝える。

撮影の注意点

広角レンズ(35mm以下)で近距離撮影すると画像に歪みが生じ商品の形状が正しく撮影されません。50mm以上で商品から距離を取って撮影すると自然な形で撮影することができます。

正面、側面・背面カットの基本となるカットは、基本的に商品と同じ目線で水平から撮影すると良いでしょう。

また、色展開がある場合は、各色を同じ角度・構図で撮影すると統一感が出て商品ページの印象が良くなります。

内側カットの撮影では、三脚ではなくカメラ手持ちで俯瞰から内部を撮影する場合があります。また鞄内部にしっかりとライトが当たるようにトップからのライトが必要です。内部が黒地等で暗い場合は暗く撮れてしまいがちなので、ライトの出力を上げる、またカメラで明るさを調整し、しっかりとポケット等の仕様を見せるようにしましょう。

どのアングルでの撮影が一番商品の特徴が伝わりやすいか…と悩む方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは基本カットを押さえて撮影し、試し撮りをしながら最適なアングルを見つけていきましょう。

使用イメージカット(ライフスタイルカット)

商品を実際に使用している場面を想像させる撮影手法がライフスタイルカットです。

「この鞄を持ったらどんな印象になるかな…」と悩む購入検討者にとって、ライフスタイルカットは購入の決め手となる重要な要素でしょう。

効果的なライフスタイルカットの撮影方法をご紹介します。

・モデルが鞄を持った写真
実際のサイズ感や使用時の印象を伝えられます。スタジオ撮影を基本にロケーション撮影も効果的です。

・デスクやカフェ等での使用シーン
ビジネスバッグなら仕事場面、ハンドバッグはカフェ等でプライベートでの活用イメージを演出するのが効果的です。

・旅行先や街中での撮影
カジュアルバッグのロケーション撮影での日常使いや、空港でのキャリーケースなど。

撮影時は商品が主役になるよう、うまく背景をぼかして撮ると良いでしょう。また、モデルの服装は商品の色味と調和させ、ターゲット層に合わせたスタイリングを心がけましょう。アパレル商品も扱っている会社なら、服と鞄を合わせてトータルコーディネート撮影も効果的です。

ECサイトの商品ページはもちろん、SNSへも積極的に掲載したい画像です。

モデルカットの代用方法は?

しかしながら、モデルを確保することが難しいケースもあるでしょう。そのような時は、トルソーに鞄を掛けて撮影、もしくはシルエット画像を用意して画像加工し鞄のサイズ感を伝えることもできます。

昨今ではAIモデルを導入するケースも増えてきています。

出典:HYPE MESSENGER BAG | 吉田カバンホームページ | YOSHIDA & Co.

【番外編】鞄に収納するアイテムと撮影する

鞄にどれだけの容量のアイテムが入るのかを見せるカットも有効です。ノートPC、財布、ペットボトル、折りたたみ傘等々…実際に鞄に収納する物を見せるカットがあると購入者がより使用イメージを膨らませることができるでしょう。

出典:本革 ビジネスバッグ レディース トートバッグ | ブルーシンシア(BLUE SINCERE) | マルイウェブチャネル

3. 360°ビューや動画のリッチコンテンツ

商品の静止画の他に購入者が実際に商品を手にとっているかのように感じる事ができる360°ビューや、商品の素材感やリアルなディテールを伝えることができる動画の掲載も増えてきています。

これらのコンテンツを静止画と併せてプラスで掲載することにより、商品の情報を正確に伝えることができるので、ユーザーの購入前の不安を解消し購買意欲と信頼感を高められます。

360°ビューや動画を掲載するメリットは?

  1. 1. 立体感・サイズ感を伝えやすい
  2. ・鞄の「厚み」や「マチ幅」を静止画以上に全方向細かく確認できる。

    ・360°回転させることで、正面・側面・底面まで自然に伝えられ、実際に手に取った時のサイズ感イメージが湧きやすくなる。

  3. 2. ディテールの魅力をアピール
  4. ・素材の質感、縫製の丁寧さ、金具やファスナーのデザイン等々こだわり部分を多角的に見せることができる。

    ・特に高価格帯やブランドバッグでは「細部まで見せて信頼感を与える」効果が大きい。

  5. 3. 他店との差別化になる
  6. ・鞄は競合商品が多く、写真だけだと似た商品に埋もれがち

    ・360°ビューや動画等を導入すると「丁寧に商品を見せている」印象を与え、差別化要素となる。

  7. 4. 返品・クレームを減らせる
  8. ・多方向から商品を確認でき、顧客が納得して購入できるのでトラブルが減少する。

商品ページに360°ビューや動画を導入することで、実店舗に近い“手に取る体験”をオンライン上で再現できる事が最大のメリットです。

掲載することによるデメリットは?

ECサイト上に360°ビューや動画を掲載するメリットはとても大きいですが、もちろんデメリットもあります。

  1. 1. 作成コストが高い
  2. 撮影機材:通常撮影機材の他に360°の回転台等が必要となる。

    撮影時間:静止画より複数アングルの撮影をするため時間がかかる。

    編集作業:動画や360°ビューの加工、ファイル作成時間がかかる。

  3. 2. 制作スキルが求められる
  4. ・撮影・編集の技術がないと、逆に見にくい・安っぽく見えることも。

    ・360°ビュー用の全画像の背景除去の処理をしないと、360°回転しても商品が見えにくく不自然なアニメーションが仕上がる。

360°ビューや動画は商品の立体感・素材感・使用感を伝えるには非常に有効ですが、制作コスト、編集スキルの問題などがあるため、作成するハードルが少し高く感じるかもしれません。

まとめ

鞄の商品撮影では「形」「サイズ感」「使いやすさ」を伝えることが重要です。先ずは撮影環境をしっかりと整え、必要なアングルの正面や内側のカット、使用イメージまで幅広く撮影し、購入者が実際に手に取ったように感じられる写真を用意しましょう。

通常の撮影に慣れてきた頃には、360°ビューや動画などのコンテンツの掲載でより良い商品ページ作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


自動撮影システムで誰でも簡単に商品撮影

鞄の撮影はほかの商材と比べ、機能やデザインをしっかり見せなければいけない。よって、商品写真の枚数が多くなり、専門性も上がってきます。そうすると業務の属人化が進み、業務担当している個人への依存度が高くなり、人材のリスクも上がります。原因の根幹にある撮影の専門性をなくす方法が、Orteryの自動撮影システムです。

Orteryの自動撮影システムでは専用ソフトウェアを使用し誰でも簡単に商品の照明の調整から撮影、編集、出力保存までを一元化できる仕組みになっています。

撮影設定値をプロファイル化

カメラの設定値、照明の数値をプロファイル化することができるので「白い鞄用」プロファイル、「黒い鞄用」等を予め作成しておけば、該当プロファイルをクリックして瞬時に設定値を引き出すことができます。

プロファイルの利用で誰が撮影してもクオリティの揃った商品画像を作成できます。

AIによる自動背景除去機能で編集時間を大幅短縮

撮影と同時にAIによって自動で背景を除去してくれる機能があり、光沢があるものや透明な商品でも精度よく背景をわずか4秒ほどで切り抜くことができます。

360°ビュー、動画コンテンツを容易に作成

ターンテーブル搭載の機材を使用し、専用ソフトウェアで撮影と同時に背景除去しながらターンテーブルを自動制御し複数アングルを撮影することができます。誰でも簡単にリッチコンテンツを作成することができ、編集時間も大幅に短縮できます。

リサイズ、出力先、マージン等出力形式のプロファイル化

撮影した画像は、リサイズ、形式変換、出力先フォルダ振り分け、画像の余白等をプロファイル化することができ一気に保存ができます。複数モールに掲載されている場合は、各モールごとにプロファイルを予め作成しておくだけです。

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