ECサイトに掲載するシューズの正しい商品撮影方法は?

お役立ちコラム

2025年9月10日

ECサイトでシューズを販売する際、最も重要な要素のひとつが「商品画像」です。購入者は実物を手に取ることができないため、画像から商品をイメージします。特にシューズはデザインや素材感、履き心地を想像させる要素が多く、撮影方法ひとつで売上が大きく変わることもあります。

この記事では、ECサイトに掲載するシューズの商品撮影の最適な方法について解説します。

1. 撮影環境を整える

シューズ撮影では、正確な商品の情報を伝えるために「必要なアングルでの撮影」と「正確な色・質感の再現」が欠かせません。購入者は写真を見て商品を判断するため、実物と写真が異なると「思っていたのと違う」と感じてしまう可能性があります。

背景はシンプルに

背景は白や淡いグレーなどの無地が基本です。シューズが引き立ち、商品の印象が伝わりやすくなります。撮影用背景紙を使うのが一般的で、1.35mほどのハーフサイズであれば十分です。台に背景紙を設置し、スタンドやポールを使うと便利ですが、スペースがない場合は壁に直接貼っても構いません。

背景紙とLEDライト

照明を整える

ライトボックスやディフューザーを活用し、均一な光をつくりましょう。LEDライトなど定常光は調整がしやすく初心者におすすめです。ソフトボックス付き照明なら光がやわらかく拡散され、2〜3灯あれば十分に対応できます。

光が回りきらない場合はレフ板を使用します。厚紙やボードを使って自作することも可能です。逆に黒い紙を使えば「黒締め」として輪郭に影を入れ、白い商品の立体感を強調できます。

また、自然な影を残すと、切り抜きの白背景よりも立体的で印象が良くなります。ブランドの世界観によっては、あえて影やコントラストを強調した撮影も効果的です。

影付きの靴の商品写真

色味を正確に再現する

撮影後に編集ソフトで補正はできますが、撮影段階でカメラのホワイトバランスを調整しましょう。初心者は「Auto」で問題ありませんが、必要に応じてケルビン(K)やグレーカードを使って調整します。

外光や蛍光灯の影響で色が混ざる場合があるため、撮影場所の蛍光灯は消し、外光を遮るなどの対策を行います。

シューズの形を整える

柔らかい素材のシューズは履いていないと潰れて見えることがあります。その場合は「あんこ」(紙類やエアクッション)を詰め、形を整えましょう。新品のスニーカー等を購入した際にシューズ内に詰まっているあの紙類がまさに「あんこ」です。ロングブーツには厚紙などを入れて立体感を出すと効果的です。商品の形がキレイに見えるよう「あんこ」詰めは重要な下準備です。

2. 基本の撮影アングルを押さえる

ECサイトでは、多角的に商品を見せることが信頼につながります。以下は基本的な撮影カットの例です。

  • ・斜めカット(45°):立体感があり全体像が伝わりやすい。メイン画像によく使われる。
  • ・側面カット:デザインの特徴を把握できる。水平からの撮影が多い。
  • ・後ろカット:かかと部分や高さを伝える。
  • ・アウトソール(靴底):滑り止めやロゴがある場合は必須。
  • ・俯瞰カット:全体像やインソールが分かる。
  • ・ディテールアップ:素材感や縫製、ロゴを伝える。

メインとなる画像のカットは左右セットで撮影されることが多く、詳細を伝えたいアングルのカットは片足だけで撮影されることが多いです。

また、スニーカー、パンプス、ブーツ等のアイテムにより撮影アングルを工夫していく必要があります。スニーカーならソールの高さが分かりやすいように水平から撮影すると良いでしょう。パンプスなら少し斜め上からの角度がパンプスのデザインを美しく見せる効果があります。「どの角度が一番映えるのか…」と悩む方もいるでしょうが、試し撮りを行いながら最適な角度を探していきましょう。

色展開がある場合は、各色を同じ角度・構図で撮影すると統一感が出て商品ページの印象が良くなります。

一眼レフ撮影の注意点

広角レンズ(35mm以下)で近距離撮影すると画像に歪みが生じ商品の形状が正しく撮影されません。50mm以上で商品から距離を取って撮影すると自然な形で撮影することができます。

撮影レギュレーションを決める

どのカットを撮影し商品ページに掲載するか、予め撮影レギュレーションを決めておくことをおすすめします。1人で撮影する分には統一感をもって撮影していけますが、複数人で撮影していく場合、撮影角度や照明のライティング等は同じように撮るようにルール決めが必要です。撮影者によって多少の個性が出てしまうものですが、商品ページのクオリティを均一にしていくのも売上げを上げる画像を作るポイントとなります。

ECサイトの各モールで必要なカットが決まっていたりしますが、自社のサイトであれば自由に表現ができるので先ずは必須カットの撮影から初めていきましょう。

360°アニメーションや動画コンテンツ

昨今では商品の静止画の他に購入者が実際に商品を手にとっているかのように感じる事ができる360°アニメーションや、商品の素材感やリアルなディテールを伝えることができる動画の掲載も増えています。

これらのコンテンツをプラスで掲載することにより、商品の情報を正確に伝えることができるので、ユーザーの購入前の不安を解消し購買意欲と信頼感を高められます。

3. サイズ感を伝える工夫

シューズは「サイズ感」が購入判断に大きく影響します。商品の物撮りだけではサイズ感が伝わりにくいので以下のような工夫が必要です。

  • ・モデル着用写真:実際に履いたイメージを見せると効果的。最近ではモデル画像だけではなく、スタッフの着用画像も主流。モデルの身長や着用サイズを記載することで購入者は着用イメージがしやすい。
  • ・スケールを示す小物:定規や他のアイテムと一緒に写すことで寸法を直感的に理解できる。
  • ・足元コーディネート例:かかと部分や高さを伝える。パンツやスカートとの組み合わせで利用シーンをイメージさせる。

モデル着用は照明を当ててスタジオ内で撮影するのも良いですが、白背景だけだと少しイメージが湧きづらいので小物を使用する、白背景以外で撮影することも通常の商品画像とメリハリが出て好印象です。

また、自然光でのモデル着用ロケーション撮影は物撮りの靴のみの掲載よりも、リアルなライフスタイルの提案ができます。ECの商品ページだけでなくInstagramや広告バナーなどにもそのまま使用できます。

靴の足元コーディネート写真
屋外での靴のコーディネート写真

4. 撮影後の編集ポイント

編集は「実物に忠実に」が大前提です。過度な加工はクレームや返品につながります。撮影後はPhotoshop等の画像編集ソフトで適切な補正を行いましょう。ただし「実物と違う加工」は逆効果で商品のクレームや返品につながってしまいます。適切な画像加工をしていきましょう。

Photoshopを使用しての編集で基本的なツールをご紹介します。

明るさ・コントラスト調整

商品のディテールがはっきり見えるように調整していきます。

  1. 1. 調整レイヤーを使用
  2. [メニュー → [レイヤー]>[新規調整レイヤー]>[明るさ・コントラスト]

    ポイント:調整レイヤーにすると元画像を壊さず調整できるので必須

  3. 2. 「明るさ」と「コントラスト」の基本調整
  4. 明るさ:靴の暗部がつぶれていないか確認しながら少しずつ上げる

    コントラスト:影とハイライトの差が強くなりすぎないように、軽くプラス調整

    ポイント:黒い靴は「暗部のディテールを残す」、白い靴は「明部が飛ばない」ように注意

  5. 3. 「トーンカーブ」で質感を出す
  6. [レイヤー]>[新規調整レイヤー]>[トーンカーブ]

    ポイント:軽くS字カーブを描くと立体感が出やすい

    明るい部分を少し持ち上げる

    暗い部分を少し下げる

    トーンカーブを使うと、革のシボ感や布地の繊維がはっきりする

背景の統一

シリーズ商品なら特に統一感が重要。画像加工で背景を白くすることで商品自体を際立たせることができます。また、Amazonに出展している場合はメイン商品画像を白背景(RGB値が255,255,255)にしなければいけないルールもあります。

Photoshop等で背景切り抜き処理が必要となります。昨今PhotoshopでのAI機能も向上しており、自動で被写体を解析して選択してくれる「被写体を選択」や「クイック選択」等の適切なツールを用いて背景と被写体を分離します。

ただし、白い商品や透明な商品の背景を切り抜く際には、自動選択だけでは輪郭が正しく認識されず、被写体の選択が難しい場合があります。そのため、クイック選択ツールやペンツールを使い、必要に応じて選択範囲を部分的に追加・削除する作業が必要です。

色味の補正

必ず実物の商品を手元に置きながら彩度を上げすぎないように調整していきましょう。

  1. 1. 自然な彩度で色を引き出す
  2. [新規調整レイヤー]>[自然な彩度]

  3. 2. 部分補正(色相・彩度のターゲット補正)
  4. [色相・彩度]>編集:特定の色域(赤系・青系など)を選択

    例:赤いスニーカー → 「レッド系」を微調整して実物に近づける
    ソールだけ黄色っぽい → イエロー系を補正

    [色相・彩度]より細かく色味を調整するには「特定色域の選択」ツールもおすすめです。

5. NGな商品画像例

暗くて商品の細部が見えない

1の内容のように適切な照明環境を整え撮影しましょう。

背景が雑然として商品が埋もれる

1の内容のように商品の画像の背景はシンプルにしましょう。

必要な撮影アングルが少なく、形状がわかりづらい

極端にカット数が少ないと商品の全体像が伝わりづらくなります。メインの画像の他に必要な詳細アングル5カット以上は撮影しましょう。

物より過度に画像加工している

実際の商品と大きく異なった画像編集はクレームや返品につながります。

まとめ

ECサイトにおけるシューズの商品撮影は、単に「きれいに撮る」ことではなく、購入者が安心して選べる情報を伝えることが目的です。

正面・側面・後ろ・俯瞰・靴底・ディテールといった基本カットに加え、着用イメージや動画・360°アニメーションを組み合わせることで、信頼性が高く購買意欲を高める商品ページが完成します。

商品撮影に絶対的な正解はありませんが、紹介したポイントを押さえることで、シューズの魅力を最大限に伝えることができます。ぜひ実践してみてください。

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