フルサイズとAPS-Cの違い!初心者向けに簡単解説!3分でわかるセンサーサイズの比較

お役立ちコラム

2022年4月22日

一眼カメラ選びでよく聞くことになるのが、センサーサイズについてです。「フルサイズ」「APS-Cサイズ」など専門的な用語が飛び出しますが、シンプルに大きさの違いを表しています。センサーの大きさは、画質やカメラの大きさなど様々な要素に関連するとても重要な要素です。今回はセンサーの大きさ、特にAPS-Cとフルサイズについてご紹介いたします。

センサーサイズとは?

APS-C-fullsize (1)

カメラはレンズから入ってきた光をセンサーで受け止めて写真にします。昔はフイルムでしたが、今ではデジタルセンサーに置き換わっています。

画像のグリーンのものがセンサーです。フイルムも大きさが様々ありますが、その大きさを踏襲し、デジタルでもサイズ基準が複数用意されています。

マニアックなサイズもありますが、一眼カメラで代表的なのはマイクロフォーサーズ、APS-C、フルサイズの3規格です。

センサーサイズの種類

APS-C-fullsize (2)

カメラ専門店で購入できるカメラのセンサーサイズを、小さい順に紹介します。

1/2.3型

スマートフォンや安価なコンデジに広く採用されている、小さいサイズのセンサーです。

1型

高級コンデジという、画質と携帯性を重視したコンパクトデジタルカメラに使われることが多いサイズです。レンズの性能によっては、一眼カメラライクなボケ表現も可能です。ごく一部のスマホに搭載している例もあります。

マイクロフォーサーズ

一眼カメラでは、オリンパスやパナソニックが採用するセンサーサイズです。携帯性と画質のバランスが良いのがポイントです。最近ではドローンやシネマカメラも採用しているケースがあります。

APS-C

キヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルム、ペンタックスなど各カメラメーカーが広く採用し、デジタル一眼カメラでは最も普及しています。APSフイルムの大きさが由来です。

エントリーモデルはこのサイズを採用することが多いですが、フルサイズよりも望遠面で有利なため、プロやハイアマチュアの方でも、用途によってはこちらを好むケースもあります。

フルサイズ

35mmフイルムと比較して、同じようなサイズであるから「フル」サイズと呼ばれています。35mmフイルムが最も一般的だったため、APS-Cサイズとの差別化するためにも、「フル」という言葉が使われ定着しました。

特にミラーレスカメラ以降は人気のサイズで、もともとは高額なカメラが大半でしたが、最近では安価なモデルも増えてきました。

中判

フルサイズよりもさらに大きく、主に広告写真などの商業目的で使用されることが多いです。富士フイルムのGFXシリーズなど、非常に使いやすい中判カメラも出てきましたが、どちらかというと仕事用というイメージが強いです

センサーサイズで違う6つのコト

1.カメラの大きさ

センサーが小さいほど、カメラ本体やレンズを小さくできる傾向にあります。特に望遠レンズにおいて顕著です。もちろん例外もありますが、カメラ屋さんでオリンパスとソニーのレンズコーナーを比べると一目瞭然です。

2.使用できるレンズの種類

各カメラメーカーは、独自の「マウント」というカメラのレンズ規格でユーザーを囲い込んでいます。例えば、ニコンとキヤノンはマウントが異なりますので、ニコンのカメラにキヤノンのレンズはつけられません。ニコンのマウントなら、それに対応したレンズか必要です。

ここで注意したいのが、マウントは同じでも、異なるセンサーサイズの場合は、レンズが取り付け出来ない場合もあります。フルサイズ対応のレンズならAPS-Cサイズでも問題ありませんが、その逆は制限されることがあります。

「APS-Cとフルサイズのレンズの互換性」で詳しく解説します。

3.画角

カメラの画角(写る範囲)はレンズの焦点距離で決まります。○○mmと表記されますが、同じ数値でもセンサーサイズが違うと画角が異なります。

例えばフルサイズで50mmなら標準レンズですが、これをAPS-Cサイズのカメラに取り付けるともっと画角が狭い中望遠レンズとなります。

APS-Cのカメラでフルサイズの50mmと同じ画角にするには、35mm程度のレンズをつける必要があります。

これでは不便なため、フルサイズを基準として考えることを「35mm換算」といいます。次のように計算することで、センサーサーズが異なっても同じ画角をイメージ可能です。

 

・ フルサイズ ⇒ そのまま

・ APS-Cサイズ ⇒ 1.5倍(キヤノンは1.6倍)

・ マイクロフォーサーズ ⇒ 2倍

 

APS-Cサイズは、35mm×1.5=52.5 でフルサイズの50mmとほぼ同じ画角となります。

4.ボケの量(被写界深度)

ボケはセンサーの大きさとレンズの絞り(F値)に影響します。センサーが大きいほど、F値は小さいほどボケます。同じF値のレンズで撮影する場合、フルサイズのほうがボケは大きくなり、表現方法は広がります。

一方でピントの合う範囲(被写界深度)が広い方が好ましい被写体、例えば商品写真や風景、マクロ写真だとセンサーが小さい方が有利な場面もあります。

F値の小さくできる望遠系のレンズ(50mm F1.8のレンズなど)で撮影することで、APS-Cセンサーでも大きなボケを演出することも可能です。

5.諧調(ダイナミックレンジ)

夕日の微妙なグラデーション(諧調)をしっかり表現するには、ダイナミックレンジと呼ばれる真っ白から真っ黒までの範囲が広いことが必要です。物理的に1画素が大きいほど表現が豊かになります。

同じ画素数のカメラの場合、センサーが大きい方が1画素は大きくなり、画素数を増やし高画素にしたい場合は特に、センサーが大きいことが有利に働きます。

一眼カメラならある程度ダイナミックレンジが広いため、フルサイズでないと満足できないという人は少ないと思います。

また、RAWというファイル形式で撮影し、パソコンで「現像処理」することでも諧調をカバーすることができます。
PCがない場合でも、ダイナミックレンジを広げ、白トビ(真っ白で色情報0)や黒つぶれ(真っ黒で色情報0)を抑えられる機能を搭載している機種がほとんどです。

6.暗所性能

諧調と同じように、暗いシチュエーションでも1画素が大きいほうがノイズレスに撮影できます。ISO感度を大きくすることで、暗い中でも明るく撮れるようになりますが、その分ノイズが発生し画質が悪くなります。

高画素化すると1画素が小さくなりますので、暗所性能は不利にはなります。そのため、センサーは大きい方が有利です。ただし、画像処理の技術や、裏面照射CMOSなどセンサーの改良によりノイズ耐性を向上させるケースもあります。

フルサイズとAPS-Cを比較

画質の比較

基本的にはフルサイズが画質には有利です。高精細と高いノイズ耐性の両立や、広いダイナミックレンジが実現できるのはフルサイズの利点ですが、APS-Cでも十分な画質は得られます。

最も重要なことは、画質はセンサーだけでなくレンズにも大きく左右されるという事です。レンズは画質だけでなく、表現の幅も広げてくれます。

どれぐらいの画素数が必要で、どこまでの画質を追求するのか、レンズいくつか揃える前提の予算とで検討してください。

日中、明るい場所での撮影を比較

画質の差は出にくいシーンです。このサイズ感の画像ならほとんど違いは判らないでしょう。スマホで見るのか、大きく印刷するのか、最終的に画像をどう利用したいのかも選ぶポイントとなります。

ボケや諧調はフルサイズの方が大きくなる傾向にありますので、そういった表現を高いレベルで求めるならフルサイズとなります。

夜景や暗所での撮影を比較

暗所など、カメラにとって厳しいシチュエーションになると、センサーサイズによる性能に差が出てくること、暗所でのオートフォーカス性能など、高いカメラの基本スペックが必要なため、一般的にはフルサイズのカメラが有利になる傾向が強いです。

フルサイズで基本スペックの高いカメラとなると高額にはなりますので、その場合、APS-Cで高感度にとても強いモデルを探すことをおすすめします。

被写体による比較(物撮り、ポートレート、景色など)

・物撮り

APS-Cの方が被写界深度(ピントの合う範囲)が広いため有利となるケースが多いです。また仕事で使用するとなると、カメラのコスト面からもAPS-Cが好まれることが多いように思います。

 

・ポートレート

ボケを利用した撮影が多いため、同様のレンズを使用する場合、フルサイズの方が有利ですが、APS-CでもF値の小さくできる単焦点レンズでカバーできます。

 

・風景

フルサイズは階調表現が豊かな一方、すべてにピントの合った状態(パンフォーカス)にするには相当絞り込む必要があります。そのためにはF値を大きくする必要があり、回折現象といって解像度が落ちてしまうことがあります。最近のカメラには回折を補正する機能もありますので、どちらかというとフルサイズかと思います。

 

・動画

どのような動画を撮るのかにもよりますが、フルサイズのセンサーでもあえてAPS-C程度にクロップした状態(Super 35mm)で撮影することも多いです。フルサイズでの撮影はピントの合う範囲が狭くなりすぎるため、制御が難しいです。動画においてはセンサーが小さい方が有利に働くこともあります。

APS-Cでフルサイズのレンズの互換性

同じマウントのレンズでも、センサーサイズの違いからレンズが使用できない場合もあり、注意が必要です。

APS-Cでフルサイズのレンズは使える?

使用できます。

画角は1.5倍(キヤノンは1.6倍)となりますが、問題なく使用できます。詳しくは、先述した「3.画角」を参照してください。

フルサイズでAPS-Cのレンズは使える?

おおよそ使用することはできますが、制限があります。

基本的にフルサイズのカメラにAPS-C用のレンズを取り付けると、自動的に「クロップ」が適用されます。クロップとはセンサーを小さく切り取って使用することです。クロップをすることで、大きいフルサイズセンサーからAPS-Cサイズの部分だけを切り取った撮影ができます。もちろんその分画素数は少なくなってしまします。
あえてクロップ機能を使用することで、1.5倍のより望遠で撮影するという使い方もできます。

カメラによっては、無理やりフルサイズで撮影することもできますが、周辺が極端に暗くなったりしますので、実用的ではありません。
※キヤノンの一眼レフカメラ(EFマウント)は、APS-Cサイズ用のレンズ(EF-S)をフルサイズのカメラに取り付けることはできません。(物理的につきません)

同じレンズでもAPS-Cとフルサイズで見え方が違う?

同じレンズを付けた場合、フルサイズよりAPS-Cサイズの方が1.5倍望遠になりますが、その他に画質にも影響が出ます。

レンズは周辺にかけて画質が悪くなりますが、フルサイズ用のレンズを使用することで、ある程度それを回避することもできます。レンズがカバーしている撮影範囲をイメージサークルといいますが、フルサイズ用のレンズは当然イメージサークルも大きいです。そのため、APS-Cサイズのセンサーで撮影すると、レンズの真ん中周辺の画質の良い部分だけで撮影することができます。

これにより、周辺部分まで画質の良い写真になります。

APS-Cはこんな人におすすめ

・コストを抑えたい
・極力小さくしたい
・望遠を多用する

画質においてほとんどの人はAPS-Cサイズで十分だと思います。その分コストや重量を抑えられることは事実です。フルサイズ用のレンズも使用できますし、富士フイルムなどAPS-Cに特化したカメラメーカーであればレンズも十分に選べます。

また望遠においてはAPS-Cサイズの方が有利な場合があるため、鳥や鉄道、スポーツなどのシーンではAPS-Cのハイエンドモデルを選ぶのもよいと思います。

フルサイズはこんな人におすすめ

・たくさんのレンズの種類から選びたい
・画質を重視したい
・大きくぼかした撮影をしたい

より趣味の要素が強くなるため、価格は上がりますがその分選べるレンズも多くなります。画質も有利に働くことが多いため、より表現力を求める場合フルサイズを選択してよいでしょう。

2022年最新版 初心者におすすめのAPS-Cの一眼レフカメラ

1.FUJIFILM X-T30 II

引用:富士フイルム Xシステム FUJIFILM X-T30 II

APS-Cサイズのセンサーを搭載したモデルです。上位モデル譲りの高画質ながら、価格は抑えられています。カメラ自体も小型でおしゃれ、操作性もよく、カメラを持っている喜びが感じられる1台です。

ところどころコストを抑えているなと感じる部分はありますが、十分高級な質感を持っています。フルサイズの展開がないため、レンズはすべてAPS-Cに特化しており、性能も良く充実しています。初心者から玄人までお勧めのカメラメーカーです。

2.SONY α6400

引用:SONY α6400特徴

APS-Cサイズのセンサーを搭載したモデルです。上位モデルにも引けを取らないオートフォーカス性能で狙った瞬間を逃しません。動画撮影も得意なカメラで、ジンバルを用いて本格的な動画を撮影する人も多いカメラです。運動会でのシーンや、動画撮影にも興味がある場合良い選択になるでしょう。手振れ補正も強力な上位モデルα6600もよい選択だと思います。

3.Canon EOS Kiss M2

引用:Canon EOS Kiss M2 | 概要

光軸上にファインダーを搭載したファミリー層向けカメラの代表的なモデルです。直接つけられるレンズのラインナップが少ないものの、必要十分な撮影用途は満たせます。一眼カメラを最も多く販売しているキヤノン製のエントリーモデル、こだわった撮影というよりも、気軽に撮影できる初心者に優しいカメラです。

2022年最新版 初心者におすすめのフルサイズ一眼レフカメラ

1.SONY α7Ⅳ

引用:ソニー 商品情報 α7Ⅳ 特徴

フルサイズミラーレスの火付け役となった、ソニーのα7シリーズの無印と呼ばれるモデルです。バランス型のモデルで特にとがった性能を持つというよりは、何でもできる優等生といった印象です。欲しい機能は大体入っており、動画性能も良く、本格的な映像制作からVlog撮影にも人気のカメラです。やや高額ですが、レンズも一番豊富で長く使えると思いますので、初めてのカメラでとてもお勧めできる一台です。

 

2.Nikon Z5

引用:Nikon 製品情報 Z5

フルサイズセンサーを搭載したモデルで、ボディ内手振れ補正も搭載するなど、基本性能は上位モデル譲りとなっています。価格もフルサイズモデルとしては比較的安価で、はじめてのカメラとしても選びやすいモデルとなっています。レンズのラインナップも充実してきていますので、様々な撮影シーンに対応できます。

3.Canon EOS RP

引用:Canon EOS RP | 概要

フルサイズセンサーを搭載しながら、とにかく安いのが特徴です。基本スペックはやや他メーカーと比べて見劣りするかなという気はしますが、この価格でフルサイズというのが何よりの魅力です。いずれより上位モデルに買い替えたいという方にもおすすめできます。
高性能なレンズのラインアップも魅力的ですが、今後はサードパーティー製のレンズ(純正以外のレンズ)が増えることを期待します。

まとめ

フルサイズの方が、画質面で有利なことがほとんどです。レンズのラインナップも多く、より多彩な表現をすることもできるはずです。その分、フルサイズは、レンズも含め高単価なことも事実です。

APS-Cサイズなど小さめのセンサーに、あえてこだわるメーカーも存在します。ほとんどの人にとって、必要十分な画質を出せるからです。カメラの機動性や携帯性を求めるなら、センサーは小さい方が有利です。

筆者としては、センサーサイズよりもレンズを交換することの方が大事だと考えています。レンズ交換により、全く違う表現が可能になるのが一眼カメラの醍醐味です。その分の予算も見越して選んでくだされば、よりよい写真ライフを楽しむことができると思います。

この記事を書いた人
トウヤマ ヒロヤ
東山 博哉
大学卒業後、カメラ業界で3年、その後オートリージャパンの立ち上げメンバーとして入社し、現在(2021年6月)まで60社以上の導入に携わる。撮影が楽になった、早くなった、画像がよくなったという言葉が喜び。製品のご提案とともに、より良い撮影システムの開発提案にも熱を入れている。 趣味はカメラで、30カ国ほど訪問している。おすすめの国はチェコとアイスランド。。

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